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改正住宅セーフティネット法が賃貸経営に与える影響

(写真=Francesco Scatena/Shutterstock.com)

「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律」、いわゆる、改正住宅セーフティネット法は、2017年10月25日に施行されました。高齢単身者や低額所得者、障害者、被災者など、住宅確保に配慮を要する人たちへの住宅供給を目指した法律です。

これまで多くのオーナーが、できる限り入居を「ご遠慮」いただいてきた人たちに対して、住む場所の提供を求める今回のルール改正は、どのようなメリットやデメリットをもたらすのでしょうか。一緒に考えてみましょう。

入居者ミスマッチと空き家増加を解消

国土交通省は急速に進む少子高齢化や社会情勢の変化から、今後10年で高齢単身者は100万人増加(うち民間賃貸入居者22万人)と予測しています。30代の平均給与は、1997年が474万円だったのに対し、2015年は416万円と少なくなっています。若年層の大幅な収入減に加え、一人親世帯の低収入(夫婦子世帯の43%の収入)と状況はより一層厳しくなっています。(2017年2月「国土交通省説明資料
」より)

こうした人たちの入居に対して、これまでオーナーは強い拒否感を抱いてきました。ある民間調査では、入居者に対するオーナーの拒否感として多い順に、「単身の高齢者」65%、「生活保護受給者」60%、「高齢者のみの世帯」55%、「一人親世帯」14%という結果が出ています。孤独死や家賃滞納、子どもの事故や騒音などへの不安が大きな理由です。

人口減少の中、これまで彼らの受け皿となってきた公営住宅の大幅増設は、自治体にとって「無理難題」というのが実情でしょう。少子化は進み、昨今のマンション供給過多から、民間の空き家・空室は増加するばかりです。こうした矛盾を緩和することを目的に、政府は住宅確保要配慮者のために、住宅セーフティネット機能を強化する法改正を行いました。

空き家対策に悩む家主に対する財政支援策も

空き家オーナーたちは、「住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅」として、まず政令市や中核市もしくは都道府県に登録します。登録された家には、改修費として補助金(バリアフリーに対しては最大100万円。耐震改修工事や間取りのリノベーションなどに対しては最大200万円)が支給されます。

それ以外に、家賃債務保証料(月額最大3万円)や、家賃低廉化に対する補助金(月額最大2万円)もあります。高齢者が入居した場合には、見守りサービスの紹介もあります。

都道府県は、指定した居住支援法人が登録物件に対する入居促進を図るとともに、家賃債務保証や生活保護受給者の家賃代理納付への移行を進めます。

不動産投資家のメリット・デメリット

改正セーフティネット法のメリットとしては、住宅登録により賃貸経営の安定化につながることでしょう。先述した通り、手厚い公的補助でオーナーのリスクは軽減されます。また、入居促進策が講じられるため、これまでのように宣伝費用をかけなくても、入居率が上がる可能性があります。

一方、デメリットとして、入居者の多くが「住宅確保要配慮者」に固定化される可能性があることです。当初は受け入れに寛容だったとしても、いずれ、容認しがたいトラブルが発生するかもしれません。その時になって、登録を解除したとしても、貸家市場の中で貼られたレッテルを払拭するのに時間がかかるおそれがあります。

高齢者を受け入れると、室内で自然死する可能性は高くなります。そうした情報が市場に流れると、客付けしにくい部屋になりますし、特殊清掃が必要な時は、原状回復のためのコストが増えます。

改正住宅セーフティネットがもたらす将来

政府は2020年度末までに17万5,000戸の登録住宅を整備し、居住支援に積極的な市町村を全国で80%にまで高めることを目標にしています。果たして目標が達成できるかどうかは、正直に言って「見守る」しかありません。

ただし、年数がたつにつれて物件はどんどん古くなり、家賃相場も下がります。おそらくオーナーの多くは、公的補助を見込んで、古くなった物件を登録住宅に回すのではないでしょうか。登録物件がどんどん増えると、国の財政を圧迫し、制度が維持できなくなる可能性もあります。

築古物件で入居率に悩み、改正住宅セーフティネット法の活用を検討しているオーナーにとってはなるべく早い方がいいかもしれません。

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