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不動産投資家は相続対策をどこから手をつければいいのか

(写真=gopixa/Shutterstock.com)

2015年の相続税改正で、基礎控除の減額や相続税率の一部引き上げなどが盛り込まれ、以前よりも相続税を払う人が増えました。国税庁の発表によると、2015年中に死亡した人は約129万人(2014年約127万人)で、このうち相続税の課税対象となった被相続人数は約10万3,000人(同約5万6,000人)で過去最大でした。

課税割合は8.0%(2014年4.4%)で、2014年より3.6 ポイントも増えています。これまでは「我が家は相続税なんか関係ない」と、これまで思っていた人も注意する必要がありそうです。

相続対策「3本の矢」

相続対策には大きく分けて3つの方法があります。アベノミクスの「3本の矢」になぞらえるなら、相続対策「3本の矢」です。その「3つの矢」とは「遺産分割対策」「相続税軽減対策」「納税資金対策」です。

● 遺産分割対策
遺産分割対策とは誰にどんな財産を残すのかを明確にすることです。具体的には遺言書の作成です。遺言書があれば、誰が何を言おうとその内容に基づいて財産は分けられます。ただ、相続人には最低限の取り分が民法で保証されているので、受け取る遺産がこれに届かない場合は「遺留分減殺請求」を起こされる可能性があります。

このため、遺言に従って相続をするケースでも極端な配分は避けて、円満に相続が行われるように配慮することが望ましいでしょう。

遺言書がない場合は、法定相続人の全員が法定相続分を目安に自身の取り分を協議します。

● 相続税軽減対策
相続税軽減対策とは所有している財産が相続税の課税対象とならないように手を打つことです。主に生前贈与や生命保険などを活用して行われます。土地を所有している高齢者の間で、最近賃貸用アパートやマンションの建設が増えています。賃貸集合住宅を建てて土地の評価額を下げ、相続税額を減らすだけでなく、自分の死後も子孫が家賃収入を得られるように資産を遺そうという考えです。

● 納税資金対策
相続税は10か月以内に現金で一括納付をする必要があります。受け取る資産が大きければ大きいほど、相続税は高額になります。相続手続き開始後に、納税資金を計算して、慌てて不動産を処分するのは煩雑ですし、必ずしも売却できるわけでもありませんから、リスクが伴います。そのため、生命保険などを利用して、節税しながら上手に納税資金を作るなど、事前に対策を打つ必要があります。

相続対策では「遺産分割対策」を何より優先すべき理由

上記の3つとも重要な対策ですが、その中でも「遺産分割対策」がもっとも大切かもしれません。理由は、遺された親族間で無用な争いを起こさないためです。

さまざまな事情から親族同士でなるべく顔をあわせないほうがスムーズに事が運ぶ人もいます。遺言書が作成されていなければ遺産分割協議を行いますが、「1円でも多くもらいたい」と思う人がいると、遺産分割協議がうまく行かず弁護士に間に入ってもらう必要もでてきます。まさに「相続」が「争族」となる可能性があるということです。

そのため、相続がスムーズに進むように検討しておくことは、遺される家族のためにできる最後の配慮かもしれません。一方で、家族との関わり方から、遺産を傾斜配分したい気持ちがある場合には専門家に相談をして、相続税として支払う税金にも配慮して遺言書を作成しておくとよいでしょう。

例えば、「配偶者に全財産を相続させたい」「事業を継承する長男に、事業用財産をすべて渡したい」「一生懸命に世話をしてくれた家政婦にも渡したい」などの意向がある場合、遺言書によって希望通りにできます。遺言書がなければ、親や兄弟などすべての相続人と法定相続分に基づいて分割協議をする必要があるため、相続人につらい思いさせます。

「節税」の前に「争族」対策を

被相続人が死亡した後に残された家族に遺恨が発生しないようにするためにも遺言書を作成しておくのがよいでしょう。土地に収益物件を建てて節税を図ったとしても、その収益物件をどのように相続するかで、遺族がもめる可能性もあります。節税対策よりも、相続の内容を決めて、遺言書を作成することから始めてみてはどうでしょうか。

なお、遺言書には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があります。ルールに則った作成方法でないと無効になります。注意してください。

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